士業のホームページに必要なページ9選|相談前の不安に答えるサイト構成
税理士や社労士、行政書士の先生からホームページについて相談を受けると、「サイトはあるのに、問い合わせがほとんど来ない」という声をよく聞きます。サイトを確認すると、事務所名や資格、所在地、業務の一覧はきちんと載っています。それでも問い合わせにつながらないのは、相談しようか迷っている人が知りたいことに、ページが答えていないからです。
初めて士業などの専門家に相談する人は、たいてい次のようなことを気にしています。
- この悩みは、そもそも相談していい内容なのか
- どんな人が対応してくれるのか
- 費用はどれくらいかかるのか
- 問い合わせたら、その後どうなるのか
- 会社の事情や個人情報を話しても大丈夫か
こうした疑問に一つずつ答えるページを用意しておくことが、士業のホームページ構成のポイントとなります。この記事では、税理士・中小企業診断士・コンサルタントなどのサイト制作に携わってきた弊社が、士業のホームページに必要な9ページと、それぞれに何を書けばよいかを紹介します。
士業のホームページに必要な9ページ一覧
| ページ | 相談者が確認したいこと | 主な掲載内容 |
|---|---|---|
| トップページ | 自分に関係する事務所か | 対象者、専門分野、選ばれる理由、相談への入口 |
| 業務・サービス | 何を依頼できるか | 対応業務、対象者、支援範囲、成果物 |
| 料金 | いくらかかるか | 料金、含まれる業務、追加費用、支払時期 |
| プロフィール・事務所紹介 | 誰が対応するか | 資格、経歴、専門分野、方針、所在地 |
| 解決事例・お客様の声 | 似た相談に対応した経験があるか | 相談背景、対応内容、結果、依頼者の声 |
| 相談から依頼までの流れ | 問い合わせ後に何が起こるか | 面談、見積、契約、業務開始までの手順 |
| よくある質問 | 問い合わせ前の細かな疑問 | 相談条件、必要書類、対応地域、オンライン対応 |
| コラム・お知らせ | 専門性と活動状況 | 制度解説、実務ノウハウ、事務所からのお知らせ |
| お問い合わせ | どうやって相談するか | フォーム、電話、相談方法、返信目安、利用目的 |
開業したばかりで上記に該当するコンテンツが無いという場合もあると思います。そのときは、まずトップページに各項目の要点をまとめておき、問い合わせで聞かれることが多い項目から独立したページに分けていけば十分です。ページ数よりも、これらの情報が網羅的に相談者の目に入るかどうかが問われます。
1. トップページ|「自分向けの事務所か」をすぐに伝える
トップページを開いた人が最初に判断するのは、自分が相談していい事務所か、です。ファーストビュー(スクロールせずに見える範囲)で、誰の、どんな相談を、どこで受けているのかが分からなければ、多くの人はそのまま検索結果に戻ってしまいます。
たとえば「東京都墨田区の税理士事務所。創業5年以内の法人の顧問を中心に、オンラインで全国対応」と一文で書いてあれば、該当する人は安心して読み進められます。該当しない人が離れていくのも、決して悪いことではありません。
よく見かけるのが「親切・丁寧」「お客様に寄り添う」といったキャッチコピーです。キャッチコピーは重要ですが、多くの事務所が同じことを書いています。キャッチコピーや想いのテキストだけでは実態に沿わないことも多いので、事実として伝えられることや顔がみえること、得意領域を具体的に書いた方が、相談者として知りたいことが伝えられます。
トップページだけで全部を説明しようとする必要はありません。業務、料金、プロフィール、事例、相談の流れへの入口を置き、気になった人が詳しいページへ進めるようにしておきましょう。
2. 業務・サービスページ|主力業務はページを分ける
相談者はここで自分の悩みを依頼できるかを確かめます。
税理士であれば、法人顧問、相続税申告、個人の確定申告、創業支援では、相談に来る人も知りたいこともまったく違います。社会保険労務士でも、労務顧問、社会保険の手続き、就業規則、給与計算、助成金など様々な観点でページを見にきます。「サービス案内」という1ページに数行ずつ並べているだけでは、相談者が実感を持てないこともあり得ます。
事務所としてのメイン業務はページを分け、単独のページとして内容を充実させるのがおすすめです。「相続税 墨田区」のように業務単位で検索されることも多いため、業務ごとのページがあれば検索結果にも表示されやすくなります。
各業務ページには、次の内容を載せておきます。
- 対象となる方・企業
- よくある悩みや相談のきっかけ
- 依頼できる範囲と、対象外になること
- 支援の進め方と成果物
- 料金、または見積もりの目安
- 相談時に必要な情報
- 関連するお客様事例
ページの言葉の選び方もポイントです。例えば「就業規則の作成」は正式な業務名ですが、相談者の頭にあるのは「従業員が増えてきたから、社内のルールをちゃんとしたい」という悩み・課題ベースであることもあります。業務名だけではなく、悩みや課題にマッチするテキストで表現しておくと、相談者側の目線でページを作ることができます。
3. 料金ページ|「要見積」だけで終わらせず、目安を記載する
料金がまったく書かれていないと、相談者は金額が分からず心理的なハードルがあがり、かつ問い合わせたら断りにくいのではと身構えます。案件ごとに見積もる業務であっても、何によって金額が変わるのかは説明しておきましょう。
料金ページには、次の情報があると比較・検討しやすくなります。
- 初回相談は無料か有料か
- 顧問料、着手金、成功報酬、手続きごとの料金目安
- 表示金額に含まれる業務と、別料金になる業務・実費
- 追加費用が発生する条件
「顧問料 月額3万円〜」とだけ書くと、自社も3万円で済むと受け取る人が出てきます。年商や従業員数、記帳などオプション的な業務を誰が担当するかなど、その金額がどんな条件を想定しているのかも書き添えてください。安さを前面に出すより、料金に含まれる範囲をはっきりさせておく方が、契約後の思っていたのと違うを防げます。
金額を固定しにくい業務は、「従業員10名の会社で就業規則を新たに作成した場合」のようにモデルケースで示す方法もあります。その場合は、あくまで一例であることと前提条件を必ず明記しましょう。
4. プロフィール・事務所紹介ページ|「誰が担当するか」を見せる
士業のサービスは、契約前に中身を確かめることができません。そのため相談者は、どんな人に話すことになるのかをとても気にします。
プロフィールに載せたい項目は次のとおりです。
- 氏名と顔写真
- 保有資格、登録番号、所属団体
- 経歴と実務経験、得意な相談分野
- これまで対応してきた顧客や案件の傾向
- 仕事で大切にしていること、開業の経緯
- セミナー、執筆、講師などの活動
- 事務所名、所在地、連絡先、営業時間
経歴は年表のように並べるより、「前職で製造業の経理を10年担当し、その経験から製造業の顧問を多く受けている」のように、今の専門分野にどうつながっているかを書くと説得力が増します。
複数名の事務所なら、代表者だけでなく、実際に担当するスタッフも紹介しておきましょう。「初回の相談は代表が、その後の実務は担当スタッフが対応」といった体制が分かっていれば、依頼後のギャップも生まれにくくなります。
5. 解決事例・お客様の声|似た相談への対応経験を伝える
事例ページを読む人が確かめたいのは、自分と似た状況の相談に対応したことがあるか、です。件数の多さよりも、自分の状況に重ねられるかどうかが決め手になります。事例は、次の順番で書くと読みやすくなります。
- 依頼者の属性や事業規模
- 相談前に困っていたこと
- 依頼された業務と支援範囲
- 専門家として行った判断や提案
- 実施後に変わったこと
- 依頼者の感想
守秘義務があるので、掲載するのは依頼者の許可を得た範囲に限られます。社名を出せなくても、「従業員20名の製造業」「創業2年目の飲食店」くらいの情報があれば、読む人は自分との共通点を見つけられます。ですが、なるべく顔出しOKのお客様事例を掲載できるように、クライアントとの関係性を築きましょう。事例掲載を条件に、請け負う金額を少し安くすることも一つの手段です。
TenCyがリニューアルを担当した中小企業診断士の事務所サイトでは、専門家としての信頼感と親しみやすさのバランスを見直し、地域からの問い合わせにつながりました。経緯はインタビュー記事で紹介しています。
なお、制作会社が載せる制作実績と、士業事務所が載せる解決事例は目的が異なります。事務所のサイトに載せるべきは、デザインではなく、どんな相談にどう対応したかです。
6. 相談から依頼までの流れ|問い合わせ後の不安を先回りして解消する
初めて士業に問い合わせる人は、「面談したら契約を迫られるのでは」「どの時点から費用がかかるのか」といったことを心配しています。流れを掲載しておくことで、問い合わせの一歩を踏み出しやすくなります。
一般的な流れは次のとおりです。
- フォームまたは電話で問い合わせ
- 事務所から日程や確認事項を連絡
- 初回相談・ヒアリング
- 支援内容と見積もりの提示
- 契約、必要書類の受け渡し
- 業務開始
- 報告・納品・継続支援
それぞれ、所要時間、オンラインで対応できるか、用意する書類、無料か有料か、等を記載しておくと親切です。弊社におけるホームページ制作そのものの進め方は、こちらの記事で企画から公開後の運用まで解説しています。
7. よくある質問(FAQ)|問い合わせるほどではない疑問に答える
FAQは、わざわざ問い合わせるほどではないけれど気になっている、という小さな疑問を解消するためのページです。士業というビジネスモデルでは、次のようなFAQ項目が候補となります。
- 相談だけでも利用できますか
- 初回相談には何が必要でしょうか
- オンラインや電話でも相談できますか
- 対応地域は決まっていますか
- 土日や営業時間外にも相談できますか
- どの段階から料金が発生しますか
- 他の専門家と連携してもらえますか
- 依頼できない業務はありますか
- 相談内容や会社の情報はどのように管理されますか
掲載する質問項目は、過去の実際の問い合わせや面談で聞かれたことを載せていくのがおすすめです。
8. コラム・お知らせ|専門性と「今も活動している事務所か」を示す
コラムは検索からの集客のためと考えられがちですが、相談者は「専門性がどこにあるか」「最近も更新されているか」を確かめるためにも読んでいます。お知らせ欄の最終更新が何年も前だと、それだけでこの事務所は今も営業しているのかと不安にさせてしまいます。
書くテーマに困ったら、次のようなところから探してみてください。
- 実際の相談で繰り返し聞かれること
- 制度改正で顧客に伝えておきたいこと
- 依頼前に準備してほしい書類や情報
- よくある失敗と、その防ぎ方
- 支援事例から一般化できる判断のポイント
- セミナーや相談会の案内・開催報告
制度の解説を書くときは、対象者、期限、例外、いつ時点の情報かを明記し、官公庁や士業団体の一次情報へリンクします。古い記事の日付だけを新しくするのは避け、内容と自事務所の対応範囲が今も正しいかを見直してから更新しましょう。
WordPressで自分たちで更新するなら、テーマ選びの段階で投稿のしやすさも確認しておくと、更新が続きやすくなります。士業向けの無料WordPressテーマは次の記事で比較しています。
9. お問い合わせページ|送信前の迷いをなくす
問い合わせページまで来た人は、相談する気持ちがかなり固まっています。ここで離脱されてしまうと大切な機会を失ってしまいますので、閲覧者が安心して問い合わせできる情報をそろえておきましょう。
フォームの周辺には、次の情報を置いておきます。
- 相談方法(対面、オンライン、電話など)
- 初回相談の料金
- 返信までの目安
- 営業時間と休業日
- 問い合わせ後の流れ
- 入力した個人情報の利用目的
入力項目は、氏名、メールアドレス、電話番号、相談分野、相談内容が基本です。項目を減らせば送信はされやすくなりますが、初回の返信に必要な情報まで削ると、やり取りが一往復増えてしまいます。どこまで聞くかは、事務所の対応方法に合わせて調整してください。
相談分野を選択式にする場合、「労務」「許認可」といった専門用語だけでは、相談者はどれを選べばよいか迷います。「会社を設立したい」「従業員とのトラブルについて」のように、悩みの言葉で選択肢を作っておくと親切です。
また、個人情報保護委員会は、ホームページの入力画面で本人から個人情報を取得する場合、原則として利用目的を明示する必要があると説明しています。送信ボタンの手前で利用目的を確認できるよう、プライバシーポリシーへのリンクを設置してください。
個人情報保護委員会「申込書やホームページ上のユーザー入力画面で連絡先を記入させる場合」
9ページとは別に、プライバシーポリシーも用意する
問い合わせフォームで個人情報を受け取る以上、利用目的、管理方法、第三者提供、問い合わせ窓口などを説明するプライバシーポリシーは欠かせません。
個人情報保護委員会のガイドラインでは、利用目的は、本人が一般的かつ合理的に想定できる程度に具体的に特定することが望ましいとされています。
アクセス解析、広告、外部の予約サービス、メール配信などを使っている場合は、それぞれの情報の扱いに合わせた記載が必要です。他のサイトの文章をそのまま流用すると、自事務所の実際の運用とずれてしまうことがあるので注意してください。
公開前に、所属団体の広告規程を確認する
士業のホームページは広告にあたる場合があり、職種ごとの法令や会則、職務基本規程、広告に関する指針などを確認しておく必要があります。
たとえば日本弁護士連合会は「弁護士等の業務広告に関する規程」と「業務広告に関する指針」を公開しています。日本行政書士会連合会の職務基本規則でも、事実と異なる広告や、誤認・誤導のおそれがある広告が禁止されています。
「必ず成功する」「地域No.1」「どんな案件にも対応」といった、客観的に確かめられない表現は使わないようにしましょう。実績数、お客様の声、料金、対応業務も、事実と掲載条件を確認してから公開します。規程は改正されることがあるので、制作時だけでなく、ページを見直すたびに所属団体の最新情報を確認しておくと安心です。
ページ同士のつなぎ方で、問い合わせにつながるかが変わる
9ページをそろえても、ページ同士がうまくつながっていなければ、相談者は必要な情報にたどり着けません。内部リンクは、相談者が判断していく順番に沿って設計します。
- トップページで「自分に関係のある事務所だ」と分かる
- 業務ページで対応範囲を確かめる
- プロフィールと事例で専門性を確かめる
- 料金・相談の流れ・FAQで不安を解消する
- お問い合わせページから相談する
コラムから入ってきた人には、記事の内容に関係する業務ページを案内しましょう。就業規則の記事なら社労士の就業規則ページへ、法人設立の記事なら税理士や行政書士の設立支援ページへ、という具合です。
どのページにも同じ「お問い合わせはこちら」を置くだけでは、まだ判断材料がそろっていない人は動きません。その時点で読者が次に知りたい情報へ案内することが、結果的に問い合わせへの近道になります。
士業のホームページ制作・リニューアルはTenCyへ
士業のホームページでは、専門的な内容を正確に伝えることと、初めて相談する人にも分かりやすくすることの両方が求められます。今回紹介した9ページを土台に、事務所の専門分野や相談者層、営業方法、更新体制に合わせて中身を組み立ててみてください。
TenCy株式会社では、中小企業診断士の有資格者と税理士試験の合格者が制作を担当し、税理士、中小企業診断士、コンサルタントなど士業・専門家のサイトを手掛けています。サイト構成や原稿づくり、デザイン、WordPressでの構築から、公開後の更新・SEO運用までご相談いただけます。
「今のサイトに何が足りないのか知りたい」「業務ページをどう分ければいいか分からない」といった段階でも構いません。現在のホームページと事務所の方針をうかがいながら、一緒に整理していきます。






