ホームページの運用と保守は契約すべきか?3つの判断ポイント
目次
ホームページ制作を外注しようとしたときに提示された見積書を見て、多くの方が悩むポイントがあります。それは、「ホームページの保守費用」という項目です。具体的に実施してもらえる作業が分かりにくく、本当に必要なのかと考えてしまうかもしれません。
制作会社にもよりますが、月額で数千~数万円以上の金額が見積もられていることも。ずっとこの金額がランニングコストとして乗っかってしまうと、本当に契約すべきか悩んでしまいますね。
そんな悩みの種であるホームページの保守について記述したいと思います。ホームページ制作の流れについてはこちらの記事もご覧ください。
ホームページの保守契約では何をしているのか
(注意)
本章の記述としては、前提としてワードプレス(WordPress)と呼ばれるサイト制作の仕組みを採用した場合になります。他の仕組みの場合、内容が異なる可能性があります。
ホームページは、新規に作成して公開した後は、徐々に掲載している情報の鮮度が落ちていくことになります。そのため、ホームページの価値は継続的に劣化している、という認識を持つことが大事です。
例えば、新着のお知らせ記事が1年前までしかなかった場合、そのホームページをみた利用者はどのような印象を持つでしょう?この会社はちゃんと事業を継続しているのかな、特に更新するような内容が無い変化のない会社なのかな、ホームページの更新にも時間を割けないほど忙しいのかな、と、色々な疑念が生じてしまいます。
お客様候補である閲覧者に、最初の時点で悪い印象を与えてしまいかねません。そのため、ホームページは継続的に更新・ページ追加を行って、鮮度を維持することが大切です。それが、ホームページの保守契約の一つの役割です。
ホームページの保守契約期間では、制作会社は契約に記載された範囲の中で以下の作業をしています。これらの作業をどのように見積もるか、が、保守契約を結ぶかの判断になります。
WordPressの本体のバージョンアップ対応
WordPressはオープンソースであり、日々セキュリティ対策や機能拡張などのアップデートが行われています。また、悪いことを企む人たちもその中身を解析して、脆弱性を探し、ウィルスやアタックを仕掛けたりしています。まさに、いたちごっこの様相を呈しています。
うちみたいな零細会社のホームページなんて大丈夫でしょ、と考えてはいけません。私の所属する団体(月間数千程度のアクセスだと思います)のホームページが乗っ取り被害にあった、ということもあり、かなり身近なトラブルとして存在します。
WordPressのアップデートは、ボタン一つで更新が成功することも多くあります。一方で、手の込んだ複雑なサイトの場合は、ボタン一つではうまくいかずにサイトが崩れてしまったり、表示されなくなってしまう可能性もあり得ます。そのため、更新作業は以下のように手続きを踏んで検証してからバージョンアップを行います。
- バックアップの取得
- テスト環境に同様の環境を再現
- テスト環境でアップデート
- テスト環境を一通りチェックし、問題が無いことを確認
- 本番環境のアップデート
ボタン一つで終わるのではなく、想像以上に大変な作業であることが理解いただけると思います。
WordPressのテーマ・プラグインのバージョンアップ対応
WordPressは便利な仕組みで、世の中に様々な制作の効率化をしてくれる機能やテンプレートが存在しています。これらを利用することで、制作時のコストを下げられます。
一方で、世の中の既存テンプレートや部品(プラグイン)を利用することで、それらもWordPress本体と同様にアップデートが生じることになります。こちらも同じように、ボタン一つで更新することは可能です。ですが、更新がうまくいかず機能が使えなくなったりサイトやページが表示されなくなったり、トラブルが生じることもよくあります。
実際に、数年前ですが「とあるプラグインを更新したら画像を記事に挿入できなくなってしまった」と相談をうけたことがあります。原因は、プラグインをアップデートしたところ、別のプラグインに干渉してしまってそちらが機能しなくなってしまう、というプラグイン同士の相性の問題が生じてしまったためでした。
こういったケースが起こることは稀ですが、ゼロではありません。簡単に更新できるように見えて、トラブルが起こる可能性はゼロにはならないものです。
SSLサーバー証明書の更新
「SSLサーバー証明書」とは、簡単にいうと、ホームページのURLの部分で http”s” とsがついた状態にするための手続きに必要なものです。Webサイトの運営者の実在性を証明し、通信を暗号化することでサイトのセキュリティを高めて、閲覧者に安心してサイトを見てもらうための対応作業の一つとなります。
SSLサーバー証明書は有効期限があるため、定期的に更新作業が必要となります。WordPressのレンタルサーバーであれば無料SSLで自動更新に対応しているケースもありますが、有料SSLを利用した場合など更新手続きを逐次確認しておく必要があるケースもあります。保守管理作業の一つとして、SSL対応があります。
問題が起こったときのトラブル対応として暫定的な対策調査・根本修正の対応
制作完了後、一定期間は不具合やトラブルが生じた場合に無料でサポート・対応してもらえることもあります。ですが、いつまでも無料で対応してもらえるという訳にはいきません。また、不具合やトラブルが生じたとしてもそこに制作会社側に問題が無いこともよくあります。
例えば、既存システムの仕様変更やレンタルサーバー側の変更、ユーザー側の操作に問題があった、等、色々なケースでトラブルが生じます。これらの対応を、保守契約を結んでいることで迅速に対処してもらえることになります。
ちょっとしたホームページの修正やカスタマイズ
テキストの変更や画像の差し替えなど、簡単な変更であれば保守契約の範囲内で対応してもらえることもあります。大がかりな変更やページの新規追加などは別途見積となりやすいですので、余り期待しすぎるのも良くはないところです。
契約内容にどこまで対応してもらえるか記載があるはずですので、契約書をしっかりと確認しましょう。
ホームページの保守契約を締結すべきかどうか、判断基準を考えてみる
ホームページの保守契約が必要な理由は
ホームページ上には多くのコンテンツがあり、コンテンツごとにテキストや画像、コードなどが使われています。公開時に不具合が紛れ込んでいたり、公開時と現在で方針が異なって画像やテキストを差し替えたい等、公開後に対応しなくてはならない場合も多くあります。
また、コンテンツのアップデートが何ヵ月もおこなわれていない、つまり最新の情報に更新されていないWebサイトは、適切な情報が届けられていない問題のみでなく、Google検索の順位にも影響を与えます。更新が止まったサイトは検索順位が徐々に落ちていき、SEOの観点でも悪い影響が生じます。
ホームページのシステム面では、CMSやプラグインの更新管理や、ドメイン、サーバー、SSLの契約更新作業などもあります。これらの更新作業を怠ると、ホームページが表示されなくなってしまいかねません。
弊社の基本スタンスとしては、ホームページの保守契約は結ぶべきだとしてお客様に提案しています。理由は、セキュリティ対策やトラブルは問題が起こってしまった時の被害が甚大であることから、そのリスクは可能な限り抑えておきましょう、ということです。
ですが、ランニングコストになるとお金が払えないよ、という意見も分かる部分でもあります。そのため、判断ポイントをいくつか挙げてみたいと思います。
判断ポイント①ホームページ制作のシステムは何を利用したか
これまではWordPressを採用してサイトを制作した、という前提で記述していましたが、それ以外のサイト制作の仕組みを採用しているケースもよくあります。別のサービスであれば、サービス提供者側が自動的にバージョンアップを行うため、わざわざ手動でアップデートしなくてもいい、という可能性もあります。
具体的には、WixやJimdo、ペライチ、STUDIOなどが挙げられます。
これらのサービスの場合は、システム提供者側である程度のセキュリティを担保してくれています。システムの更新によってサイトが崩れたり閲覧できなくなることも無いでしょう。
判断ポイント②自分たちでバックアップと更新を対応できるか
WordPressの更新やテーマ・プラグインの更新は、バックアップ環境を構築してアップデートをとりあえず試してみる、というだけであれば、プログラムの技術は無くとも実施可能です。
もし更新してみてトラブルが生じた場合に相談できる相手がいるのであれば、自分たちで頑張ってメンテナンスしてみる、というのも選択肢になります。
判断ポイント③内製して情報システム部門を立ち上げるべきか
今、盛んに言われている「DX」。これを進めていくうえでは、IT部門を内製化していきましょうというのがキーワードになっています。それなりの規模の中小企業であれば、情報システム部門を立ち上げることを考えなくてはいけない時代になってきています。
これを機に、情報システムに対する人材を獲得してみる、というのも検討の余地はあるのではないでしょうか。
弊社のホームページの保守・運用費用の内訳は?
ホームページは、維持するだけでも多少の費用がかかります。それらをまとめてホームページ制作会社に保守費用として発注することもあれば、それぞれの費用は個別に発注側が各社と契約することも可能です。ホームページの保守・運用費用は、以下の内容が含まれています。
レンタルサーバー費用
レンタルサーバー会社と契約する費用です。月額で数百円~利用規模とスペックに応じて数千円、数万円以上となることもあります。小規模事業者のホームページ(数ページ~数十ページ)であれば、月額数百円~1,000円程度のプランで充分と判断しています。
弊社がおすすめするレンタルサーバーはXSERVERもしくはさくらインターネットが多いですね。
ドメイン費用
ホームページのURLを取得するための費用です。1年契約もしくは複数年契約であることが多く、年間で数百円~数千円程度かかります。会社の定番ドメイン「.co.jp」は年間3,000円程度ですね。
なお、レンタルサーバーと同時に契約することで.comドメインが無料で一つ利用できるキャンペーンが時々レンタルサーバー会社で実施されています。小規模な事業者で、会社/事業サイト1サイトを運営したい場合はこちらで充分なケースが多いでしょう。
SSL証明書の費用
こちらは、中小規模であれば無料のLet’s Encrypt で充分なケースもあります。ですが、有料のSSL証明書を利用する場合は維持コストとして見積もることが必要です。
保守費用の内訳のうち、以下は制作・保守管理会社との契約内容次第です
障害対応、バージョンアップ対応
何らかのトラブルでホームページが表示されなくなったり、悪意のある攻撃をうけて表示がおかしくなってしまったり、システムの最新バージョンがリリースされて更新が必要となった場合の対応費用です。
この作業を依頼する場合は、バックアップの取得と管理もセットで実施してもらえるか確認すると良いでしょう。
コンテンツ管理・更新費用
こちらが最も重要と考えている費用になります。ホームページは作成しただけでは時間経過とともにその価値も劣化していきます。新たなコンテンツを公開して最新の情報を発信し、事業内容の変化に合わせてメンテナンスすることが重要です。
更新が止まった古い内容を公開しているホームページは、むしろ利用者にとってはデメリットとなります。間違った情報が公開されている場合は早急にメンテナンスを検討することをお勧めします。
SEO対策・アクセス分析レポート費用
コンテンツ管理運用と合わせて、SEOの改善によるアクセス数増加を目指す場合はレポートや改善活動を含めて保守管理として契約する必要があります。
こちらを契約する場合は、弊社は月額10万円~を最低目安としてご提案しています。広報人材を一人雇うよりは安く、定期的な更新と発信をサポートします。
弊社のホームページの保守・運用についてのスタンスは?
弊社は、ホームページが価値のある資産となるためには運用をしっかり継続していくことが重要です。ホームページのSEOを期待して制作を依頼されることもありますが、SEOはサイト作成時の考慮よりも運用管理での考慮のほうが重要性の比重が大きくなります。
基本的には、保守管理も含めて広報宣伝活動として予算を確保して運用することをお勧めしています。
ホームページの保守契約に対するまとめ
トラブルが起こってからでは遅いため、大きなリスクとなり得るホームページの取り扱いは、もっとしっかり社内で検討すべき事項だと考えています。制作・公開して終わりではなく、その後の対応や取り扱いも含めて制作時にしっかりご検討くださいね。
弊社でも、保守契約に応じた対応をサポートしております。お気軽にお問い合わせください。