「年末調整」って何?仕組みとキホンを解説!
目次
2025年もまもなく年末が近づいてきました。職場から「年末調整の書類を出すように」と言われて戸惑っていませんか?
「何だか難しそう…」「面倒だから適当に書いてしまおう」と思っている方もいるかもしれません。
年末調整は毎月の給料から概算で天引きされている所得税を「正しい所得税に確定させる大切な手続き」なんです。
この記事では、「年末調整って、そもそも何?」という疑問から、年間の所得税を確定させる仕組み、そして提出すべき書類のキホンまで、初心者の方にも分かりやすくイチから解説します。
これを読めば、もう年末調整で迷うことはありません!

1. はじめに:年末調整って、ぶっちゃけ何をするの?
1.1. 結論:年末調整は「正しい所得税に確定させる」手続き
結論から言うと、年末調整とは、1年間であなたが会社を通じて払った「所得税」を精算し、過払い分、不足分のお金を精算するための手続きです。
1.2. なぜ年末調整が必要なの?「源泉徴収」の仕組み
なぜ、わざわざ年末に精算し直す必要があるのでしょうか?
それは、普段給料から引かれている源泉徴収の計算方法に理由があります。
- 毎月の税金(源泉徴収):月々の給料や扶養家族の人数などから概算で計算されています。
- 1年間の正確な税金:生命保険料の支払い、結婚や出産による家族構成の変化など、1年間で発生した正確な情報を考慮して計算されます。
この「概算」と「正確な金額」を年末に比較して差額を調整するのが、年末調整の役割なのです。ほとんどの場合、概算で多く払いすぎているため、差額が戻ってきます。
2. 年末調整のキホン:いつ、誰が、何をする?
2.1. 誰がやるの?:会社員・パート・アルバイトは原則「会社」が手続き
あなたが年末調整の書類を提出すれば、税金の計算と手続き自体は会社が責任をもって行ってくれます。
【基本的に年末調整の対象となる人】
- 1年間を通じて会社に勤めている人
- 年の途中で入社し、年末まで勤めている人(前の職場の源泉徴収票を提出している場合)
【例外:年末調整の対象外となり、自分で確定申告が必要な人】
- 年収が2,000万円を超えている人
- 2か所以上の会社から給与をもらっている人
- 年の途中で退職し、年末までに再就職していない人
2.2. いつやるの?:11月〜12月がピークの「提出」時期
会社から従業員に書類が配布され、提出が求められるのは毎年11月頃から12月上旬にかけてです。
提出期限は会社によって異なりますが、書類作成に必要な「控除証明書」(生命保険会社などから届くハガキ)は10月下旬~11月上旬に届くことが多いため、それが揃い次第手続きをすることになります。
3. 【これが重要】年末調整の仕組み(所得控除の役割)
「還付金」、つまり戻ってくる鍵となるのが、「所得控除」です。
3.1. 「控除」って何? = 税金を計算する元のお金を減らすこと
「控除」とは、税金を計算する際のベースとなるあなたの収入(所得)を差し引く仕組みのことです。
税金は「所得」に対してかかるため、この所得が減れば減るほど、納めるべき税金も少なくなります。
- 所得控除の額が多い
- → 課税対象となる所得が減る
- → 納める税金が少なくなる
- → 還付金が増える!
これが、年末調整で書類をきちんと提出することが重要である最大の理由です。
3.2. 初心者が絶対知っておくべき代表的な「控除」
あなたが該当する控除を忘れずに申告すれば、その分税金が安くなります。特に初心者が知っておくべき代表的な控除は以下の通りです。
| 控除の種類 | 概要 | 提出する書類・添付するもの |
| 基礎控除 | 全ての人が無条件で受けられる控除 | 申告書に記載(年収2,500万円以下の場合) |
| 扶養控除 | 養っている親族(子ども、親など)がいる場合に受けられる控除 | 扶養控除等(異動)申告書 |
| 生命保険料控除 | 生命保険や介護医療保険などに加入している場合に受けられる控除 | 生命保険会社から届く控除証明書を添付 |
| 地震保険料控除 | マイホームなどで地震保険に加入している場合に受けられる控除 | 保険会社から届く控除証明書を添付 |
3.3.年間の所得税額の決まり方
最終的な所得税の計算は、会社が次の式で実行します。
(1年間で給料から天引きされた税金の合計)
− (本来あなたが納めるべき正確な年税額)
= 還付金(または追加徴収)
生命保険などの控除を正しく申告することで「本来納めるべき正確な年税額」が下がり、その結果、戻ってくるお金が増える仕組みです。
4. 実務編:提出する3種類の申告書
会社から渡される主な書類は、基本的に以下の3種類です。
4.1. 【メイン】「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
- 家族構成(扶養している家族がいるか)などを申告する、最も重要な書類です。
- この書類がないと、毎月の給与計算の税率が高くなってしまうため、全員が必ず提出する必要があります。
4.2. 「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」
- ポイント:基礎控除の申告は2020年から全員が必ずこの書類で行うことになりました。自分の年収の見込みを書いて提出します。
- 配偶者がいる場合は、配偶者の収入や自分の収入を細かく書いて申告します。
4.3. 「保険料控除申告書」
- 生命保険料や地震保険料の控除を受けるために使います。
- 書類に支払い金額を記入し、保険会社から送られてくる「控除証明書」を必ず添付して提出してください。添付を忘れると控除を受けられません。
年末調整の書類は毎年、記載方法の変更があります。詳しい書き方は、国税庁のページをご確認ください。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2025/01.htm
5. 知っておきたい!年末調整をしなかった場合はどうなる?
会社から書類を出せと言われたのに、期限内に提出しなかったり、提出を忘れてしまったりした場合はどうなるのでしょうか?
5.1. 税金を払いすぎたままになる可能性が高い
生命保険などの控除が考慮されないため、「概算で納めた税金」が「本来納めるべき税金」より高くなり、還付金を受け取れず、税金を払いすぎた状態になってしまいます。
5.2. 対処法は「確定申告」
年末調整に間に合わなかった場合でも、諦める必要はありません。
翌年の2月16日~3月15日の期間中に「確定申告」で、税務署に自分で手続きをすれば、払いすぎた税金を取り戻すことができます。
ただし、自分で書類を用意し、税務署に提出する手間がかかるため、できる限り会社の年末調整で済ませるのが最も楽です。
6. まとめ:年末調整は「正しい所得税に確定させる」手続き!
年末調整のキホンと仕組みについてご理解いただけたでしょうか。
年末調整は「面倒な事務手続き」ではなく、「あなたが損をしないための大切なお金の手続き」です。
年末調整の重要ポイント
- 目的は:1年間の概算で払った税金を、正しい所得税額に計算すること。
- 鍵となるのは:生命保険料控除などの「所得控除」を忘れずに申告すること。
- 必ずやること:保険会社から届く「控除証明書」を、期限までに会社に提出する書類に添付する。
12月又は1月の給与明細には、調整された後の還付金又は徴収金額が記載されます。ぜひ、今回学んだ知識を活かして、自分の還付金をチェックしてみてくださいね。
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